イタリア楽描きessay

イタリア・シンプルライフ

Conserva di pomodoro「トマトの瓶詰め」

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夏の風物詩。

肉厚のトマト、サンマルツァーノを

ぎゅうぎゅうと瓶に詰めて

ドラム缶に沸かした熱湯で

空気を抜く作業。

 

今年は親戚の瓶詰作業を手伝った。

広口の瓶を使う家なので

私の手はぴったりサイズだった。

 

一緒に作業をした人は

手の大きな人だったので

適当な棒を使っていた。

 

真っ赤に熟れたトマトの

頭の部分をナイフで切り取り

種と水分を絞り取る。

 

きっちり取り除く必要はない。

手でぎゅっと握り締め

取り除ける範囲で充分。

 

もしキメの細かい

トマトソースを作りたいのなら

後から濾せばいい。

 

こういうざっくりした作業は大好き。

しかもひとつひとつ形が違うから

どこまで切り込みを入れるか

どんな風に絞るか

正解はない。

 

単純作業に潜む神秘と真理。

 

そんなことを口にはしない。

ただ今年は暑い夏だねとか

イチジクが豊作だよとか

その時よぎった話題を言葉にしながら

手を動かし続ける。

 

瓶に詰め込まれた赤い宝石は

私たちの食卓を一年中彩る。

 

大地と太陽の恵みに感謝して

赤いエネルギーを体内へ取り込む。

 

私たちの体は

食べたもので作られる。

 

余計な装飾は要らない。

シンプルで体が望むものを食べたい。

食卓で思うことはそれだけ。

 

conserva/e(コンセルヴァ/ヴェ)=保存食品、瓶詰、缶詰

pomodoro/i(ポモドーロ/リ)=トマト

 

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